後立山南部 爺ヶ岳 (2669m) 2010年7月10日
所要時間
5:03 登山口−−5:55 ケルン−−7:24
種池山荘 7:27−−7:58 爺ヶ岳南峰−−8:11 爺ヶ岳中峰 9:29−−9:40 爺ヶ岳南峰−−10:03 種池山荘−−10:58 ケルン−−11:29
登山口
概要
柏原新道より往復。例年より残雪は多いはずだが、既に登山道上の雪はほとんど消えており、トラバース区間も2箇所の谷で残雪が見られるだけだった。そこにはしっかりとステップが切られており、アイゼン不要で安全に歩けた。稜線上は種池山荘付近で残雪があるだけで、登りにかかるとずっと夏道が出ていた。天候は悪くはなかったが雲が多く、1時間半粘ってやっとガスが晴れたが鹿島槍や黒部方面は雲がかかったままだった。
中央道に乗って西に進むと雨が本降りとなり50km/h規制となるが、長野道に入り塩尻に突入すると雲が薄くなりだして隙間から星が見えるようになった。これなら明日は晴天が期待できそうだ。いろいろ考えたがここ数年登っていない爺ヶ岳に向かうことにして豊科ICで降りて扇沢へ。登山口駐車場はまだ空きがあるが夏山シーズンにはいっぱいになるだろうな。日中に木陰になる場所を確保して寝た。
登山口より少し扇沢寄りの駐車場 | 登山口の反対側の駐車場。狭い |
翌朝、続々と車が上がってくる中、朝飯を済ませて歩き始める。天気は快晴かと思いきや、稜線は雲がかかって細かい雨まで降ってくる始末。今頃関東近くにあるはずの低気圧が離れていけば回復してくるはずで、少なくともこれ以上悪化はしないだろうと予想した。爺ヶ岳山頂までの標高差は約1300m、3時間ほどかかる予定で、その頃には天候が回復しているといいなぁ。
柏原新道登山口 | いい道 |
いい道が延々と続く | 稜線は雲の中 |
柏原新道は1級の登山道なので藪で濡れる心配は無く、雨上がり直後でも安心して歩ける。前回ここを歩いたのは鹿島槍西部の牛首山を往復したときで、あの時は咳がひどくてゲホゲホやりながら登ったなぁ。今回は健康状態に問題は無く快調に進んでいく。気温は適度でTシャツに半ズボンでまあまあ快適だ。まだ雨に濡れた樹林の中であることも影響しているかもしれない。
残念ながら雲で八ヶ岳は見えず | 扇沢。駐車場はガラガラ |
針ノ木岳の稜線も雲の中 | ケルン |
ケルンから見た種池山荘 | 扇沢覗き。扇沢が見える |
1枚岩だが岩が見当たらない | 石畳。石が敷き詰められた登山道が続く |
なだらかな水平道 | 水平道の次は大廻り |
石ベンチ。名前のまんま | 小さな尾根を巻くところ |
ルート上には地名を記した表示板があり、下から八ッ見ベンチ、ケルン、扇沢覗き、一枚岩、石畳、水平道、水平岬、大廻り、石ベンチ、黄金岬となっていた。標高か登山口や種池山荘からの距離でも書かれていれば現在位置が分かるのだが。前回登ったときの記憶では1枚岩を過ぎてから残雪が続くようになり、雪が続く斜面を適当に登って南尾根に這い上がったが、その斜面は今は一面の緑に覆われていた。ただ、笹はあまり見られず低い樹林がメインのようで、藪が乾いていれば今の時期でも登れるかもしれない。そうすれば種池山荘までトラバースして戻ってくるルートではなくショートカットで直に爺ヶ岳南峰に出ることができる。まあ、これだけ立派な登山道を歩いていると藪に突っ込む気力がそがれるが・・・。
途中で追い越した登山者は4名で、下ってくる登山者も少ないながら存在した。これから天気が良くなるというタイミングで下ってくるのも残念だろう。私の後方には付かず離れずで単独男性が続く。こっちはほぼ無休憩で2時間近く歩いているから、あちらも健脚に違いない。今日はどこまで行くのだろうか。
最初の雪渓横断 | 2つ目の雪渓横断 |
トラバース中、顕著な谷が2箇所あるが、そこだけ残雪があった。あまり傾斜はきつくないしまだ氷化していないので登山靴でステップを切りながら歩けば通過に問題なかったが、種池山荘のスタッフが整備したのだろう、スコップで水平に道が切られていた。これなら残雪の山未経験者でも大丈夫だ。この雪が消えるのは2,3週間後か?
緑に包まれた爺ヶ岳南尾根。下界は雲海の下 | |
餓鬼岳は雲の下 | 樹高が低くなる |
森林限界突破 | 種池山荘直下 |
樹林が切れて草付きに変わると種池山荘直下で、三角屋根の大きな建物の前で稜線に到達した。ここに立ったのは何年ぶりだろうか。まだ天候は回復しておらず、小屋はギリギリ雲の下だが爺ヶ岳山頂はガスが流れていた。さて、あれが晴れてくれるだろうか。当然ながら鹿島槍も立山、剣も雲の中で見えなかった。ここで西寄りの風が強まったので長ズボンに長袖シャツを着た。ここで今までと同じ格好で歩くと1ヶ月前の飯豊のような頭痛と吐き気に襲われるのは確実だ。私が着替えていると同じペースで歩いてきた男性は別のベンチに座り小休止に入った。
種池山荘 | 爺ヶ岳目指して東に進むと大きな雪田 |
夏道の尾根 | 石屑と這ったハイマツでアルペン気分満点 |
着替えを終えて出発。小屋のすぐ東側は広い雪田に覆われ、夏道は雪の下で目印の棒が立っていた。足跡を見る限りでは爺ヶ岳方面に向かったのはまだ1名だけらしい。たぶん小屋泊まりの人で日帰り組では私がトップだろう。雪田を途中で抜けて稜線上の夏道を辿る。最初は少し頭をもたげたハイマツだったが標高が上がると徐々に寝てきた。登山道は岩屑が多くなり、いかにもアルプスといった風情だ。前回ここを通ったときは雷鳥が登山者に愛嬌を振りまいていたが、今回は1羽も目にすることが無かった。ガスっていて天敵に襲われる心配がないので出現すると思っていたのに残念。もう7月半ば近いのでひよこではなくライチョウらしい姿になっているだろう。
後ろを振り返ると単独男性が休憩を追えて出発し、こちらに登ってくるのが見えた。ジグザグったり稜線上を登ったりと標高が上がるととうとうガスに突っ込んでしまう。気温は約10度で日差しが無く風が強いので寒いくらいだった。
鹿島槍 | 爺ヶ岳南峰目指す |
爺ヶ岳南峰直下 | 爺ヶ岳南峰山頂 |
傾斜が緩むとケルンが登場、そして南峰山頂標識が立っていた。これで牛首山に登ったときのルートに乗った。あの時は天気が良かったが今回は何も見えない。休憩は最高点の中峰で取ることにして南峰は素通りだ。北に下ると縦走路と合流する。そういえば途中でルートが2つに別れる場所があり私は尾根上のルートを行ったが、左のトラバース気味のルートを進むとここに出るのだろう。
爺ヶ岳中峰を目指す | 爺ヶ岳中峰山頂 |
白沢天狗尾根入口 | 爺ヶ岳中峰から見た南峰 |
爺ヶ岳中峰から見た鹿島槍 | 冷池山荘とテント場 |
ガスの中を下って鞍部に出ると稜線南側に残雪があった。北斜面をトラバースするように登り、中峰分岐標識で右に登る。そう、縦走路は中峰も巻いているのだ。ただ、ほとんど直下を通過するので山頂を往復しても5分もかからないだろう。その山頂は無人でガスに覆われ風が吹きぬけて寒かった。南に下って風を避けて休憩しつつ、ガスが晴れるのを待つ。時間はたっぷりあるので1時間くらいは粘ってみるか。最初は時々薄明るくなるだけで周囲の様子は見えなかったが1時間くらい経過するとかなりガスが切れるようになり、お隣の南峰の姿は見え続けるようになった。しかし鹿島槍は稜線東側からガスが上がって山頂が見えない。牛首山の稜線は良く見えるようになったが黒部川を挟んだ対岸の山々はずっと雲の中に隠れたままだった。
中峰−南峰鞍部から見た白沢天狗山 | 南峰に登り返す |
南峰から見た南尾根 | 南峰から見た種池山荘に続く稜線 |
稜線上もやっと晴れてきた | 蓮華岳も見えてきた |
これ以上は展望は期待できないと判断して下山開始。その頃にやっと次のお客がやってきた。そういえば登りで後ろを付いてきた男性はここにやってくることはなく、巻き道を通って鹿島槍方面に行ったようだ。どこまで行くのかなぁ。帰りがけに再び南峰に登る途中、男性2人が下ってきて鹿島槍方面に向かっていった。南峰から下っていくと次々と登山者とすれ違った。まだ梅雨明け前の夏山プレシーズンだが賑わい始めている。まあ、真夏の人数とは大違いだけど。
もうすぐ種池山荘 | 爺ヶ岳向けて稜線を登る人の列 |
小屋から柏原新道を下っていくとこれまた次々と登山者が登ってくる。この時間だと日帰りではなく小屋泊まりか幕営か。今日は天気はこれからもっと良くなるだろうが明日は下り坂、大丈夫だろうか。若いパーティーもポツポツ見られ、いかにも夏山らしい光景だ。これが残雪の藪山だと人の姿が無いからなぁ。
下山時は針ノ木雪渓がすっきり見えていた | 針ノ木岳、スバリ岳も姿を現す |
扇沢の車も増えていた | 下界の雲も晴れていた |
朝より気温が上がったが大汗をかくほどではなく、無風地帯に入ったときのみ扇をパタパタさせて涼みながら歩けばまあまあ快適だった。樹林で日差しが無いのは大助かりだった。ずっと雲に隠れていた針ノ木岳やスバリ岳も雲から顔を覗かせるようになってきた。針ノ木雪渓は賑わっているだろうか。まだまだべっとりと雪が張り付き、峠までずっと雪の上を歩けるだろう。暑くなったら雪の上をずっと歩けるルートがいいかな。
登山口到着 | 駐車場はいっぱいになっていた |
登山口に戻ると駐車場はちょうどいっぱいになったくらいだった。ということは真夏は駐車場からはみ出すくらい車で溢れるわけか。そうなるまであと1週間か、2週間か、それとも3週間か。今年も梅雨明けが気になる。